薩摩の教えに学んだ三日間 ― 鹿児島社員旅行に参加して
こんにちは、塙公認会計士事務所の塙 健一郎です。
先週の火曜日から木曜日(6月9日〜11日)にかけて、兼ねてから関わらせて頂いている会社さんの社員旅行に同行させていただき、2泊3日で鹿児島・薩摩路をめぐってきました。
社外という立場の私を、こうしてあたたかな輪に加えていただき、気づけばもう9年目になります。
毎年このようなご縁をいただけることを、本当にありがたく思っております。
社長ご夫妻をはじめ、企画・運営に奔走された幹事の皆さまに、心より御礼を申し上げます。
実は私、薩摩の教えには以前から惹かれるものがありながら、お恥ずかしい話、鹿児島の地を踏むのは今回が初めてでした。
本でいくら読んでも、やはりその土地の空気を吸ってみないと分からないことがある——今回それを痛感した旅でした。
この社員旅行には、社長のある想いが込められています。
それは、一流のホテルや食事を社員一人ひとりが実際に経験することで、本物のホスピタリティを肌で学んでほしい、というものです。
もてなしの心は、本やマニュアルだけでは身につきません。
上質なサービスに直に触れ、心を動かされる体験を重ねてこそ、自分自身の仕事にも生きてくる——私も深く共感する考えです。
今回お世話になった宿は、いずれも一流のおもてなしで、随所に学びがありました。
初日 ― 霧島の自然と、薩摩の地酒
羽田から空路で鹿児島へ。
初日はあいにくの雨模様でしたが、最初に向かったのは、緑ゆたかな霧島エリアです。
農園でいただいたバーベキューを皆で囲み、旅はいきなり和やかな空気に包まれました。
その後は焼酎の蔵を見学させていただき、薩摩の風土が育んだものづくりの奥深さに触れました。
締めくくりに参拝した霧島神宮は、朱塗りの社殿が緑の中に映える、凛とした佇まい。
雨にしっとりと濡れた境内も、かえって厳かで趣がありました。
初日から、自然・歴史・食と、薩摩の魅力を一度に味わった一日でした。
二日目 ― 薩摩の歴史に触れて
二日目からは一転、青空に恵まれました。
鹿児島市内へ向かい、西郷隆盛の銅像と私学校跡に立つと、薩摩がこの国の近代の扉を開いた地であることを、あらためて肌で感じます。
名勝・仙巌園では、まだ誰も成功例を知らない幕末の時代に、島津の殿様が海の向こうの技術を学び、自分たちの手で反射炉を起こした——その挑戦の跡を見ることができました。
新しいことに挑む気風が、この地には百五十年以上も前から流れているのだと、深く感じ入りました。
西郷隆盛の座右の銘は「敬天愛人」。
天を敬い、人を愛する、という意味です。
同じ鹿児島出身の経営者・稲盛和夫さんが、京セラの社是として掲げた言葉でもあります。
私自身、若い頃から稲盛さんの著書に多くを学んできた人間です。
経営とは結局のところ、数字の前に「人としてどう在るか」なのだ——その源流が、今日歩いたこの土地にあったのかと、銅像の前に立ったとき、思わず胸が熱くなりました。
昼は名物のしゃぶしゃぶに舌鼓を打ち、午後は繁華街・天文館を散策。
歴史を学んだあとの街歩きは、また格別でした。
「挑む人」と、「それを支える人」
薩摩には、人の値打ちを五つの順に並べた、有名な教えがあります(「薩摩の教え」「人の順序」とも呼ばれます)。
- 何かに挑戦し、成功した人
- 何かに挑戦し、失敗した人
- 自ら挑戦はしなかったが、挑戦した人を支えた人
- 何もしなかった人
- 何もせず、批判だけしている人
私がこの教えを好きなのは、「失敗した人」が二番目に置かれていることです。
普通なら、成功した人の次は「失敗しなかった人」を評価しそうなものです。
けれども薩摩は、挑んで敗れた人を決して低く見なかった。
むしろ、何もせず安全な場所にいた人より、ずっと上に置いた。
そして、自ら表に立たずとも、挑む仲間を支える人を、きちんと敬いました。
挑戦と、それを支える人を、車の両輪として大切にする——これは、会社という組織にそのまま当てはまる教えだと、私は思っております。
新しいことに挑む人がいて、それを陰で黙って支える人がいる。
うまくいった年もあれば、思うようにいかなかった年もあったはずです。
それでも歩みを止めず、ここまで来ることができた。
表に立つ人も、支える人も、等しく大切にされてきたからこそだと、ご一緒した皆さんの姿に、その積み重ねを見た思いがしました。
最終日 ― 桜島を望んで
最終日は、フェリーで桜島へ渡りました。今も噴煙を上げ続ける、生きた山です。
締めくくりの黒酢の里での昼食まで、薩摩の食の力強さを存分に味わいました。
あの雄大な姿を眺めていると、これまでの歩みを振り返り、そしてまた、これから始まる新しい挑戦へと、自然に思いが向かいます。
挑んで成功するもよし、挑んで敗れるもよし。
薩摩の教えに倣えば、そのどちらもが、立派なことなのですから。
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▲ 桜島にて社長と
旅を終えて
外からは見えにくいものですが、その会社ならではの空気や、人と人との結びつきは、旅のふとした瞬間にこそ立ち現れるものですね。
これは、私が日頃大切にしている想いにも通じます。
人は「役割」や「肩書き」を離れた場面でこそ、その人らしさや、チームの本当のつながりが表れるのだと、あらためて感じました。
一流のもてなしに触れ、薩摩の歴史と教えに学んだ三日間。
数字の向こうには、いつも「人」と、その会社の「物語」があります。
今回いただいた経験を、その会社への関わりはもちろん、塙公認会計士事務所のお客様お一人おひとりへの伴走にも、しっかり生かしてまいります。
素敵な時間を、本当にありがとうございました。

