【東京都】商店街での開業・事業承継を支える助成金【令和8年度】― 対象者で変わる2つの制度を整理しました

※情報は2026年6月14日時点のものです。制度内容・金額・受付期間は変更される場合がありますので、お申し込みの前に必ず公式サイト・募集要項をご確認ください。


こんにちは、塙公認会計士事務所の塙 健一郎です。

梅雨に入り、街にも紫陽花が彩りを添える季節になりましたね。

先日、地元の商店街を歩いていたら、長く親しまれてきたお店の隣に、若い方が始めたばかりの小さなカフェが開いていて、なんだか嬉しい気持ちになりました。

コーチングの場でもよく感じるのですが、「お店を持ちたい」「家業を引き継ぎたい」という思いは、一歩を踏み出すまでがいちばん勇気のいるところです。

その一歩を、資金面から後押ししてくれる東京都の制度があります。

今日は、商店街での開業・承継を支える2つの助成金についてご紹介します。

少し制度が入り組んでいますので、正確なところを丁寧に整理していきましょう。


1. 制度の概要

東京都と(公財)東京都中小企業振興公社は、都内商店街の活性化と担い手の発掘を目的に、商店街での開業等を支援する助成金を実施しています。
今年度(令和8年度)は、性格の異なる2つの事業を1冊の募集要項で同時に募集しています。

  • ① 若手・女性リーダー応援プログラム助成事業
  • ② 商店街起業・承継支援事業

どちらも、店舗の工事費や設備・備品の購入費、店舗の賃借料などを助成するもので、店舗の支援を通じて商店街全体に活気を生み出すことを狙いとしています。

ここがいちばん間違えやすいところですので、まず2つの違いを表にまとめます。

対象になる方と金額が異なりますので、ご自身がどちらに当てはまるかを確認してくださいね。

項目① 若手・女性リーダー応援プログラム助成事業② 商店街起業・承継支援事業
対象になる方「女性」または「年度末時点で39歳以下の男性」。都内商店街で開業予定の個人(創業予定者または個人事業主)で、申請時点で実店舗を持っていない方 など年齢・性別・個人/法人を問わず、商店街活性化に意欲のある方
対象になる取組都内商店街での新規開業都内商店街での開業・多角化・事業承継のいずれか
助成限度額最大 844万円最大 694万円
助成率助成対象経費の 3/4以内助成対象経費の 2/3以内
助成対象経費事業所整備費(店舗新装・改装工事費、設備・備品購入費、宣伝・広告費)、店舗賃借料同左
助成対象期間事業所整備費:交付決定日〜開業日が属する月の翌々月末(最長1年間)/店舗賃借料:交付決定日から3年間同左

ざっくりお伝えすると、若手男性(39歳以下)や女性が個人で新たにお店を開く場合は、助成率・上限額ともに手厚いが候補になります。

一方、年齢や法人・個人を問わず、また「事業を引き継ぎたい」「別業態のお店を増やしたい」という場合は、が対象になり得ます。


2. 誰が使えるか

① 若手・女性リーダー応援プログラム助成事業

次のような方が対象とされています。

  • 「女性」または「年度末時点で39歳以下の男性」であること
  • 都内商店街で開業予定の個人(創業予定者または個人事業主)で、都内に限らず申請時点で実店舗を持っていない方
  • 独創的な事業プランを考え、主体的に商店街活性化に取り組む意欲のある方
  • 申請者が店舗の事業に専ら従事できること

② 商店街起業・承継支援事業

  • 年齢・性別、個人・法人を問わず、商店街活性化に意欲のある方
  • 都内商店街で「開業」「多角化(既存店舗と異なる事業を始める)」「事業承継(店舗を引き継ぐ)」のいずれかを予定している方

なお、助成の対象となる業種は限られています

飲食・小売など多くの業種が含まれますが、対象外の業種もありますので、ご自身の事業が対象になるかは募集要項の対象業種一覧で必ずご確認ください。


3. 何に使えるか(対象経費)

両事業とも、助成の対象となる経費は次のとおりです。

  • 事業所整備費
    • 店舗の新装・改装工事費
    • 設備・備品の購入費
    • 宣伝・広告費
  • 店舗賃借料

ポイントは、店舗の家賃(賃借料)が交付決定日から3年間にわたって助成対象になり得る点です。

開業初期は家賃負担が重くのしかかりますので、ここを支えてもらえるのは心強い設計ですね。

一方、工事費や設備費などの事業所整備費は、交付決定日から開業日が属する月の翌々月末まで(最長1年間)が対象期間とされています。

費目ごとの細かな上限や対象・対象外の線引きは、募集要項に詳しく定められています。

本記事では確認できた範囲のみを記載していますので、個別の経費が対象になるかは募集要項でご確認ください。


4. 申請スケジュール(令和8年度)

令和8年度は、年3回の申請受付が設けられています。

  • 第1回:令和8年4月23日(木)〜5月14日(木) … すでに受付終了
  • 第2回:令和8年7月10日(金)〜7月31日(金)17:00必着
  • 第3回:令和8年10月9日(金)〜10月30日(金)17:00必着

本記事を公開している2026年6月14日時点で、次に申請できるのは第2回(7月10日〜7月31日)です。

締切まで1か月半ほどありますので、今から準備を始めれば十分に間に合う時期ですね。

申請方法は、jGrants(電子申請)または郵送です。

電子申請・郵送のいずれも、提出締切は募集期間最終日の17:00必着とされています。

審査は、一次審査(資格・書類審査)と二次審査(面接審査)の二段階で行われます。

審査には4か月ほどかかるとされており、交付決定(助成対象者の決定)は、第2回が12月1日、第3回が令和9年3月1日が予定されています。

開業のスケジュールは、この審査期間を見込んでゆとりをもって組み立てておくと安心です。


5. 実務上の注意点

ここからは、募集要項に明記された事実ではなく、実務の観点から気をつけておきたい点として整理します。

制度のルールそのものとは分けてお読みください。

  • 助成金は「後払い」です。
    公社が開業後の現地調査や経費の支払処理を確認したうえで支払われ、開業前には入金されません。つまり、工事費や家賃はいったんご自身で立て替える必要があります。自己資金やつなぎの資金繰り計画を、申請段階から考えておくことが大切だと考えられます。
  • 店舗が「商店街」に属しているかの確認が必要です。
    どの商店街に属するかの確認手続き(商店街出店確認書など)が求められますので、出店予定地が対象になるか、早めに確認しておくとよいでしょう。
  • jGrantsを利用する場合は、GビズIDが必要になります。
    アカウントの取得には一定の手続き期間がかかることがありますので、電子申請を予定される場合は早めの準備をおすすめします。(取得にかかる期間や有効期限は変わり得ますので、最新の公式案内をご確認ください。)
  • 審査で見られやすい観点について。
    公社は「独創的な事業プラン」「主体的に商店街活性化に取り組む意欲」を対象者の要件として挙げています。このことから、単に自店の利益だけでなく、商店街全体への貢献をどう描くかが計画づくりのポイントになりやすいと考えられます。あくまで見立てであり、採択を保証するものではありませんが、計画を練る際の視点として持っておくとよいかもしれません。


6. 今からやるべき準備

第2回(7月31日締切)を見据えるなら、今の時期にこんな準備を進めておくと安心です。

  1. 募集要項を読み込む … まずは公式サイトから令和8年度の募集要項を入手し、対象業種・対象経費・必要書類を確認しましょう。
  2. どちらの事業に当てはまるかを見極める … ①(若手・女性/新規開業)か、②(年齢等不問/開業・多角化・承継)かを整理します。両方の要件を満たす場合の取扱いは、募集要項や問い合わせで確認するのが確実です。
  3. 事業プラン・損益計画を作る … 売上見込みの根拠や資金繰りを、数字で説明できる形にしておきましょう。後払い制度であることを踏まえ、開業から助成金入金までの資金繰りも描いておくと安心です。
  4. 出店予定地の商店街該当性を確認する … 対象となる商店街かどうかを早めに確認します。
  5. GビズIDの準備(電子申請の場合) … jGrantsを使う予定なら、アカウント取得を先に進めておきましょう。


おわりに

お店を開く、あるいは引き継ぐというのは、数字の計画であると同時に、「この街でどう在りたいか」というご自身の物語を描くことでもあります。

私がレゴ®シリアスプレイ®やコーチングの場で大切にしているのも、まさにその「自分の言葉で未来を語る」プロセスです。

助成金はあくまで、その一歩を支える道具のひとつ。
主役はいつも、踏み出すご本人です。

制度は要件が細かく、年度ごとに変わる部分もあります。

「自分はどちらの事業に当てはまるのだろう」「資金繰りの組み立てが不安だ」と感じられたら、どうぞお気軽にご相談ください。

事業計画の数字づくりから、開業後の経理・税務まで、伴走してお手伝いいたします。

皆さまの新しい一歩が、商店街に、そして街にあたたかな灯をともすことを願っています。


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