【緊急解説】金利0.75%時代へ。日銀「追加利上げ」決定で中小企業が今すぐ点検すべき3つのこと

街はクリスマスムード一色ですが、私たちにとって、少し気が引き締まるニュースが飛び込んできました。

先日12月19日、日銀が金融政策決定会合で「政策金利を0.75%に引き上げる」ことを決定しました。

「0.75%」と聞いて、どう感じられましたか?

「まだ低い」と思われたでしょうか。
それとも「じわじわ上がってきたな」と感じられたでしょうか。

実はこの水準、1995年以来、実に30年ぶりのことなのです。

私たち中小企業は、長く続いた「金利ほぼゼロ」の時代から、名実ともに「金利のある世界」へと完全に足を踏み入れました。

今回は、このニュースを受けて、私たちが2026年を迎えるに際してやっておくべき「財務の点検」についてお話しします。

1. ニュースのポイントと、現場への影響

まず、今回の決定を整理しましょう。

日銀は、来年の春闘(賃上げ)の勢いが持続すると判断し、政策金利(無担保コール翌日物レート)を0.5%から0.75%へ引き上げました。

これにより予測される影響は以下の通りです。

  • 変動金利の借入: 多くの銀行融資で、今後(早ければ1月〜2月頃から)、適用金利が0.25%程度上昇する可能性があります。
  • 短期プライムレート: これに連動する融資商品は、ダイレクトに返済額が増加します。
  • 企業の優勝劣敗: 「借入金利以上の利益率」を出せない事業は、存続が厳しくなる局面に入りました。

2. 激動の時代を乗り切る「筋肉質」な財務体質の作り方

金利上昇はコスト増ですが、恐れる必要はありません。

これを機に、会社の財務を「筋肉質」に変えれば良いのです。

具体的には、以下の3ステップで点検を行ってください。

ステップ1:B/Sの「脂肪」を落とす(資産の整理)

貸借対照表(B/S)の左側を見直しましょう。

  • 何年も動いていない「長期滞留在庫」
  • ほとんど使っていない「社用車」や「機械」
  • 付き合いで加入したままの「保険積立金」

これらは、持っているだけで金利コストがかかる「贅肉」になりかねません。
これらを売却・現金化し、借入金の返済に充てることで、金利負担そのものを圧縮(ダイエット)します。

ステップ2:金利の種類を見極める(リスク管理)

お手元の「返済予定表」を確認してください。

今後も設備投資などで借入が必要な場合、目先の金利が低い「変動金利」だけでなく、将来のコストを確定させる「固定金利」の活用も検討してください。

特に、公庫などの固定金利型融資は、金利上昇局面での強い味方になります。

ステップ3:価格への転嫁(稼ぐ力の強化)

これが最も重要です。「金利が上がった分、利益が減った」ではいけません。

金利上昇は、世の中のインフレ(物価上昇)とセットです。

「仕入価格」+「人件費」+「金利コスト」 これらをすべて賄った上で、適正な利益が出るように「売価」を見直せていますか?

2026年は、コストアップを堂々と価格に反映できる企業が生き残ります。

【編集後記

「Cash is King, but Profit is Queen(現金は王様だが、利益は女王だ)」と言う言葉があります。

金利が上がる局面では、現金の厚み(King)を守りつつ、しっかりと本業で利益(Queen)を生み出すことが、かつてないほど重要になります。

30年ぶりの金利水準。

初めて経験する経営者様も多いはずです。

「ウチの借入、このままで大丈夫?」

そんな不安があれば、ご相談ください。

一人で悩まず、一緒にシミュレーションをして、安心して新年を迎えましょう!