【年末の朗報】外注費の消費税負担、急増回避へ!インボイス経過措置が「延長・緩和」される見通しです

こんにちは。公認会計士・税理士の塙(はなわ)健一郎です。

カレンダーも残り数枚。
いよいよ2025年も大詰めですね。

私の事務所の近隣も、年末年始の休みに入り、いつもの喧騒が嘘のように静まり返っています。

皆様、今年一年の事業運営、本当にお疲れ様でした。

さて、今年最後は、経営者の皆様にとって少し肩の荷が下りるような「お年玉」的なニュースです。

先日公表された「令和8年度税制改正大綱」。

インボイス制度に関する重要な緩和措置の方針が示されました。

「来年以降、免税事業者への支払いで消費税負担が増えるのが怖いな…」
と、来期の資金繰りを心配しながら年を越そうとしていた経営者様。

まだ「案」の段階ではありますが、非常に前向きな内容ですので、ぜひチェックしてみてください。

■免税事業者からの仕入れ、控除できる額と期間が増えます

フリーランスのエンジニアやデザイナー、一人親方の職人さんなど、「免税事業者」の方とお取引がある企業にとって、インボイス制度の経過措置終了(=消費税の納税額アップ)は頭の痛い問題でした。

現行のルールでは、現在の「8割控除」が終了する令和8年(2026年)10月からは、一気に「5割控除」へと縮小される予定でした。

しかし今回の改正大綱では、この激変を和らげるために、より緩やかな階段を用意する案が盛り込まれています 。

▼ 新しいスケジュールと控除率

ポイントは、「7割控除」の期間が新設されることと、完全に控除できなくなるまでの期間が2年間延長される方向であることです 。

  1. 現在~令和8年(2026年)9月末 これまで通り、8割を控除できます(変更なし)。
  2. 令和8年10月~令和10年(2028年)9月末 【改正案】いきなり5割には減らさず、7割を控除できるようにする方針です 。
  3. 令和10年10月~令和12年(2030年)9月末 ここで5割控除になります 。
  4. 令和12年10月~令和13年(2031年)9月末 最後の1年間は3割控除となる予定です 。

■「対話」の時間が増えるかもしれません

この改正案が通れば、免税事業者からの仕入れにかかる消費税を全額自己負担しなければならなくなるのは、令和13年(2031年)10月からとなります 。

まだ5年以上先の話になります。

一方で、海外法人グループなどによる制度悪用を防ぐため、一の免税事業者ごとの年間適用上限額を「1億円」に制限する案も出ていますが 、一般的な中小企業の取引規模であれば、この制限を気にする必要はほとんどないでしょう。

なお、今回ご紹介した内容は、あくまで「税制改正大綱」に基づいています。

例年、大綱の内容はそのまま法律になることが多いです。

ただ、今年は少数与党の状況下でもあり、今後の国会での審議過程で内容が修正される可能性もゼロではありません 。

正式な決定は来年の春頃になります。

まずは「緩和される方向で議論が進んでいる」という事実を、年末の安心材料として受け取っていただければと思います。

【編集後記】

年の瀬にこのような緩和措置の方針が出されたことは、小規模な事業者との共存共栄を目指す多くの中小企業にとって、非常に良いニュースだと思います。

「来年からどう契約を見直そうか」と焦っていた方も、まずは一度深呼吸を。

猶予期間が延びることで、取引先とじっくり話し合い、お互いが納得できる関係を築くための「時間」がプレゼントされるはずです。

不安材料が一つ減った状態で、どうぞ穏やかな年末年始をお過ごしください。

本年もありがとうございました。

来る2026年も、皆様の事業が飛躍する一年となりますよう、伴走者としてサポートさせていただきます。

それでは、良いお年をお迎えください。